log lossとは — 確率予想の「正直さ」を採点する方法
「このAIは当たるのか?」— この問いに的中率で答えるのは、実は雑です。確率を出すモデルの品質は log loss(対数損失) で測ります。koei-ai がモデルを毎日検証している指標そのものです。
的中率が壊れている理由
6艇立ての競艇で、毎回「1号艇が勝つ」とだけ言うプログラムを考えます。1コースの1着率は全国平均でおよそ55%前後あるので、このプログラムの的中率は約55%になります。何の分析もしていないのにです。
的中率は「どれに丸をつけたか」しか見ません。確率モデルの出力は「1号艇62%、2号艇14%、…」という分布であり、丸付けの正誤より遥かに多くの情報を持っています。その質を測るのが log loss です。
log lossの定義
log loss = −(1/N) Σ log( p実際に勝った出走者 )
各レースで「実際に勝った出走者に、モデルが事前に何%を割り当てていたか」の対数を取り、全レースで平均して符号を反転したものです。小さいほど良い。
具体例
| 勝者に割り当てていた確率 | そのレースのloss(−ln p) | 意味 |
|---|---|---|
| 60% | 0.51 | よく読めていた |
| 30% | 1.20 | 並 |
| 5% | 3.00 | 大きく外した |
| 1% | 4.61 | 「ありえない」と言った相手が勝った — 重罰 |
ポイントは自信過剰への非対称なペナルティです。「1%しかない」と断言した出走者が勝つと、lossは跳ね上がります。log loss が小さいモデルとは、当てるモデルではなく、自分の不確実さを正直に申告するモデルです。
「良いlog loss」はいくつか?
絶対値に普遍的な基準はありません。6艇立てで全艇に1/6(約16.7%)を割り当てる「無知モデル」のloss は ln 6 ≒ 1.79。これを下回るほど、モデルは何かを学べています。ただし本当の基準は無知モデルではなく市場(オッズの暗黙確率)です。市場のlog lossとの差を取った指標が edge で、koei-ai はこれを唯一の採用判定に使っています。
検証時の作法: log loss は必ず「学習に使っていない期間」のレースで測ります。学習期間内の数字(in-sample)は必ず良く出るので、性能の証拠になりません。未来リークの記事で詳述します。
koei-ai は、確率とその根拠、市場との差(edge)まで公開する分析ツールです。
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